蔡英文総統は22日、中華民国(台湾)空軍の新型高等ジェット練習機「勇鷹(英語名:Blue Magpie)」の初飛行を視察した。「勇鷹」は、中華民国(台湾)空軍が取り組む「高等ジェット練習機プログラム(AJT)」に基づき生産が進められていた国産高等ジェット練習機で、昨年9月24日に漢翔航空工業(AIDC)の工場からロールアウトし、「勇鷹」と命名されていた。
この日、赤・白・青で塗装された「勇鷹」が初めて公開された。「高等ジェット練習機プログラム(AJT)」は、AT-3およびF-5などの高等練習機の新造機移行を目指す計画。これにより操縦士の訓練が「三段階三機種」から「三段階二機種」へとスリム化し、今後導入する「F-16V」など最新型戦闘機への訓練移行がスムーズになる。
「勇鷹」初号機の初飛行は、台湾中部・台中市の清泉崗飛行場で行われた。午前9時20分に離陸し、同32分に着陸に成功。飛行時間12分間のうちに地上滑走、高速上昇、空中飛行テスト、ファイナルアプローチを行い、正しい降下角度を維持しながら着陸した。この初飛行には31年前に誕生した国産戦闘機「IDF経国号」が同伴。国産機のたすきをつなぎ、その歴史に新たな1ページを書き込んだ。
蔡英文総統は「勇鷹」の初飛行を視察後、漢翔航空工業(AIDC)の飛航ビルに足を運び、1991年7月12日に国産戦闘機「IDF経国号」のテスト飛行で殉職した伍克振少将(享年41)の銅像に献花した。蔡英文総統は、「伍少将は科学技術の研究・開発のために犠牲になったが、国産戦闘機開発はその犠牲の上で行われ、成長を遂げ、そして今日の新型高等ジェット練習機「勇鷹」の初飛行成功につながった。伍少将の高尚な精神は永遠に朽ちることなく、受け継がれていくだろう」と述べた。
蔡英文総統は昨年9月24日に「勇鷹」初号機のロールアウト式典に出席した際にも、高等練習機の国産化を進める決意を示すとともに、「IDFの父」と呼ばれる華錫鈞将軍の墓を訪れている。華錫鈞将軍は国産戦闘機「IDF経国号」の開発に尽くした人物で、蔡英文総統は故人の国産機開発への寄与を称えた。